小説
RINGS
第 6 話
アキトは部屋に戻って考えることにした。
しばらくして、ドアがノックされた。リョーコだった。
「アキト、入ってもいいか?話したいことがあるんだ」
アキトはドアを開けた。
「ユリカと会ったんだろ?」
「うん」
「どうだった?」
「ユリカもまだ俺を愛してくれていた」
リョーコはそれを聞くと、俯きながら話し始めた。
「アキト、お願いだから、俺を選んでくれ。ラグランジュ・ポイント・エリアにあるネルガルの宇宙ステーションで空きがあったら、そこで勤められる。金もすこし貯めてあるのがあるんだ。商店街にでも場所をレンタルして、アキトはそこで食堂を開ける。俺はまだパイロットでいられるし、お前もコックを目指すことができる。いっしょにいられる。お前がパイロットを続けるなんて期待しないから」
リョーコの言葉に、アキトは驚かされた。
リョーコは震えながらアキトの返事を待っていた。
「何か、言えよ」
「リョーコは、パイロットの俺を好いているのかと思ってたよ」
「お前にとって、コックになる、っていう夢がどんなに大切なものかは知ってる。お前に、それを諦めろ、なんて言えないよ」
今一度、リョーコはアキトへの愛を証明してくれた。今だ、アキトは驚きで目を見開いていた。プライドの高いリョーコにとって、こうしてでてくるのは勇気が要るだろう。
これが最後。リョーコはアキトに決断を迫っていた。今選ばなかったら、永遠にそのチャンスを失う。
思い返してみて、思う。関係はユリカとのより、リョーコとの方が進んでいる。そして、リョーコのほうが自分を必要としている。ユリカは、こういうことにはもっと強かだろう。リョーコは男勝りな外見とは裏腹に、意外と脆いところもある。
決めた。一番、害のない方を選ぶ。
「スバル・リョーコ、俺と結婚してくれないか」
「はい」
リョーコはアキトに寄りかかるようにして泣き崩れた。
どうにか、勝ったのだ。リョーコは。