小説

RINGS

第 25 話

アキトはカフェの前でリョーコと待ち合わせた。そして、いきなりリョーコを抱き上げた。

「な、なんだ、テンカワ?」

リョーコがあまりに身をよじるので、アキトはもう少しでリョーコを落としそうになる。ルリはそんな二人を見ながら微かな面白みを感じていた。

「古いしきたりだよ」

アキトが敷居をまたぎながらいう。

「初めて花嫁を家に連れて来たときに、花婿が花嫁を抱き上げて家の玄関口を通るんです。結婚の習慣を調べてたときに知ったんですけど」

とルリ。

アキトはそのままリョーコを中へと運んでいった。

「テンカワってね…。そのままそっくり返すよ、テンカワ夫人」

アキトは笑いながらキスしてリョーコを立たせた。

くぅ~。結婚届にサインをしたとき、俺は何を考えていたんだ!激しく顔を赤くしながら心のなかで悪態をつく。情緒不安定だったんだ。そうに違いない。テンカワのくせに!

ルリは先ほどよりも面白がっていた。リョーコは公衆の面前でアキトといちゃいちゃするのに慣れてないらしい。アキトとリョーコを見ながら、自分が始めに下した判断を取り消した。リョーコも自分と似通ったところがある。愛情を表に出すのが苦手なところとか。ここで、皆で幸せになれる、そんな気がした。