小説
RINGS
第 15 話
地球に戻ってからは、楽しいとは呼べない時間が待っていた。ナデシコのクルーは数ヶ月間をかけて軍とネルガルに聴取された。軍もネルガルも機密を漏らされたくなかったので、クルーは国際旅行を禁止、また監視下に置かれるという条件で釈放された。
禁固されていた地球連邦施設の柵のすぐ外で、クルーのみんなが集まっていた。
禁固されていた間男と女は別々にされていたので、リョーコはその間アキト会えなかった。
アキトとリョーコは互いを見つけると、走りよってお互いを腕に抱いた。
「俺がいなくて寂しかったか、アキト?」
「寂しかったよ。分かりきったことを聞くなよ、リョーコ」
アキトはリョーコをより強く抱きしめた。
「聞いたか?地球を出てはいけないって」
「ああ、ユリカの父が外との連絡を取り持ってくれたんだよ。アカツキはまだ戦争犯罪の取調べ中だとさ。まあ、木連の気を引くための形式だけのものみたいだけど。あいつは大丈夫だろう。取調べが終わって事が静まり次第、ナデシコクルーを援助してくれるってさ。L3宇宙ステーションで警備隊のパイロットの仕事、俺に回せるらしい」
ミスマル提督とユリカ、ジュンが車に乗るのがアキトの目に留まった。手を振ったら、ユリカは笑い、手を振り返してきた。
「ユリカは大丈夫そうだった?」
「ああ、もう大丈夫そうだったよ。話をして、俺たちが愛し合ってるのを知って、認めてくれた。時間は全ての傷を癒すっていうだろ?」
「ルリちゃんは?」
「まだネルガルが預かってるんだと思う。俺たちとは別々だったよ。今はユリカが親権を取ろうとしてる。今はネルガルが親権を持ってるみたいだよ」
「何だって!?」
「だろ!後でプロスペクターに連絡を取って、会えるかどうか聞いてみないとな」
ミナトとユキナが帰り始める。
「さようなら、テンカワさん。いろいろとありがとうございました」
ユキナ。
「何か悲しいな。そう思わない、リョーコ?一緒に過ごしてきたクルーがまたばらばらになっていくのを見ると」
「そんなに感情的になるなよ、誰かが死んだってわけでもないのに。また会えるさ、どうせ俺たちの結婚式には来てくれるだろうし」
プロスペクターはセイヤと話をしていた。双方とも家に帰るという事にあまり積極的ではないようだ。
「プロスさん、ルリちゃんはどこなんですか?会えますか?」
「今はちょっと無理ですね」
「大丈夫なんですか」
「はい、それは保障いたします。明日事務処理か終わってから、ミスマル提督のもとに釈放されます。それまでは地球連合の保護下という事になりますよ」
「ありがとな、プロスさん」
「今、ルリの事でできることはあまりなさそうだな、リョーコ」
「ミスマル提督のところだったら、ルリも大丈夫だろうし」
「何処に泊まるか決めなきゃな。アカツキがL3コロニーのポジションを確保できるまでどのくらいかかるんだ?」
「週で数えるより月で数えたほうがいいくらいだな。今は長期間滞在できるところの方がいいと思う」
「よし。だったら俺の昔の上司を訪ねてみようか。今の俺の腕なら大丈夫だと思うし、俺の使っていた部屋もまだ空いてるはずだ。リョーコはしばらくウェイトレスをしてみるか?まあ、お客さんを殺さないようにしないとだめだけど」
リョーコは久々に笑った。