小説
LONELINESS
第 7 話
アキトは暗闇に満ちた暑苦しい空気の中にいた。リョーコちゃんが自分をコスモスへ運び込まれる寸前のエステのツールボックスの中に詰め込んだときから何時間も経っている気がする。あの時は無茶だと反対したが、イズミさんがこの中に入って宇宙の真空を三十分間耐えた、という説得で丸め込まれてしまった。
「大丈夫か、テンカワ?」
カチャ、という音とともに光が差し込んできた。
「ああ、半分死んでいるということを除いてはな」
「弱虫だな、たったの十五分だぞ。俺は登録してからすぐにここに来たんだぞ、荷物だって部屋に置いたままだ。とりあえず、お前を隠しておかないとな。男子パイロットのための部屋がひとつ空いていたはずだ。アカツキは艦長室の隣にある特別な部屋を使っていたからな。……けど、変な感じだな……自分が知っている人たちが自分を知らないっていうのは。ま、お前を誰かに見られる前に隠すのが先だな。静かにしてろよ」
アキトはリョーコに連れられて、人通りが少ない廊下を選びながら男子パイロットの個室へと急いだ。
「中でおとなしくしてろよ。一度外に出るとカードキーがなきゃ入れないからな。勤務時間が終わったらまた来るから」
リョーコは持っていたカードキーで扉を開け、アキトを中へ押し込んだ。そして、アキトが反論もできないうちに廊下を急ぎ足で去っていった。
ツールボックスのときと同じかよ……違うのは広いっていうだけだな。部屋はナデシコで自分が使っていた部屋とよく似ていた。
けれど、ひとつだけ、大事なものが一つだけ欠けていた。ゲキガンガーのディスクも、プレーヤーもなかった。待ってるうちに気が狂っちゃうよ…ベッドに横になるだけしかすることがないなんて。
ここの世界は元の世界とは違っていた。俺のジャンプで歴史が何か変わったのか?それとも、違う歴史に入り込んでしまったのか?元の世界に戻れるのか?
イネスは過去へジャンプした後、ジャンプする前の自分に会っている。ならば何故、自分たちはそうならなかったんだ?
この世界にはリョーコと自分は一人ずつしかいないようだ。ヒカルちゃんとイズミさんはどうなったのだろうか?答えられるような人は、イネスさんしか頭に浮かばない。
けれど、リョーコちゃんも何か俺の知らないことを知っているのかもしれない。