小説

LONELINESS

第 44 話

アキトはリョーコを追い、彼女の自室へと入る。鍵はかけられていない。

リョーコは自分のベットで泣き崩れていた。アキトは彼女の体に腕を回し、強引に顔を自身へと向けた。

「アキ、ト?」

何故、彼がいるのかが分からなかった。ユリカがあんな短時間でアキトを開放するわけがない。彼がユリカを振り解いてまで来てくれたというのは、何か意味があるのだろうか。

もちろん、振り解かれたからといって諦めるユリカではなかった。

「アキト、説明して!この数週間、何処にいたの!?あんなスーツであれだけの時間生きながらえるはずない!それと、リョーコちゃん、私のアキトから離れなさい!!」

部屋へ入ってくるなり、ユリカはアキトの腕を取り、リョーコから彼を引き離そうとする。

アキトが自分を追ってきてくれた事実とユリカの嫉妬を受けたことが、リョーコの心の中にある何かに火をつけた。

リョーコはアキトのもう片方の腕を取る。目には絶望の痛みに変わって、激しく燃える炎。

「アキトは俺のモンだ」

もう、自分の心を偽り押さえ込むことはできない。戦うこと。それこそが自分が一番上手くできることだと自負している。譲れないもののために戦おう。ずっと前からこうしていればよかった。今からでも遅くはない。アキトはその可能性を示してくれた。

「一緒に寝て、愛し合った。アキトと俺は恋人同士になったんだ、艦長」

「私のアキトがそんなことするはずがない!」

ユリカも、リョーコに触発されて好戦的になる。

こうなると、アキトにできることは、逃げることしか残されていなかった。二人の注意が自分から離れていることを確認したアキトは、二人から自分を解き、自室へと駆け出した。

部屋に入るなり、金属製のナイフを取ってカード読み込み溝へ差し込み、ショートさせる。これで、ユリカが持つマスターキーから少し時間が稼げる。

リョーコとユリカがアキトの部屋のドアを叩きながら、言い争っているのが聞こえる。

目に付いたゲキガンガーのディスクを、プレーヤーへと差し込む。

これが最善。今は選べない。どちらを選んでも、もう片方が傷つく。そんな当たり前のことを除いても、アキトには選べなかった。純金のユリカと金剛石のリョーコ。両方とも捨て難く、アキトはただ決断を後回しにする。

ゲキガンガーがスクリーンに映し出される。ドアの向こうから今だ聞こえる喧騒を、アニメの音量を上げることで無視する。

ゲキガンガーの世界へと再び浸る。

――ああ、ナナコさん。