小説
LONELINESS
第 43 話
しかし、幸運なことに周囲を警戒していたナデシコが電波を拾い、ジャンプしてきた。
アキトとリョーコのエステバリスはヒカルとイズミのエステと一緒に弾き出されたのだ。空になったエステを見て、ユリカは二人が何処かへとジャンプしたのだと推測したのだった。あれから、ナデシコはその宙域を探し回っていたのだ。
ヒカルがエステで、アキトとリョーコを回収しに出た。ナデシコクルーは総出で格納庫へと集まり、歓迎の準備をしていた。
アキトがヒカルのエステの手から下ろされた瞬間、ユリカは目に涙を浮かべながら走りより、アキトを抱擁した。
「生きてるって信じてた、アキト」
ユリカ。
ユリカの声、体温、感触がアキトを緊張させた。
リョーコはそれを見て、格納庫を走り出た。エステから降り出したヒカルと歓迎のギャグを用意していたイズミに、わき目も振らずに。
「ア、アキト!?」
アキトはユリカの抱擁を優しく解き、リョーコの後を追った。
リョーコに、証明しなければならなかった。あの世界で過ごした時間は、ユリカの元へ戻れたアキトにとって意味があるものだと。リョーコとの間にあった関係は、小さなものではなかったと。
ユリカは、リョーコの後を追っていくアキトを見て、不貞腐れていた。
格納庫にいる皆の中で、イネスだけが訳知り顔で笑みを浮かべていた。