小説
LONELINESS
第 42 話
二人は元の要素、世界へと出現した。アキトはナデシコをイメージしたらしいが、要素間ジャンプでは細かいナビゲーションが不可能なのか、ラグランジュポイントの辺りに出てしまった。
宇宙に漂う。イネスが推したスーツを着ていて、本当によかった。しかし、そのスーツに組み込まれた生命維持は、数時間が限界。
ユリカの元に戻るためにしたことで、リョーコと自分は死ぬ。
見渡す限り、船はない。助からないにしても、駄目元でアキトはスーツに備え付けられた緊急用ビーコンを作動させた。緩く瞬く赤い光と共に救難信号が全周波数で流される。けれど、気休め程度にしかならないことは明白だ。
少しでも生命維持を持たせるために、コミュニケ越しではなく互いのヘルメットを合わせて話をする。
「リョーコ、こんな事になって、ごめん」
ヘルメット越しに伝わるアキトの声は、どこか遠く、弱い。
「いいよ。まだ助かる可能性だってあるよ、アキト」
もし、これが最期の数時間なのだとしても、アキトと二人きりで過ごせることは、ただ嬉しかった。