小説
LONELINESS
第 35 話
最初に起きたのはアキトだった。
腕の中には、まだ小さな笑みを浮かべながら静かに眠るリョーコがいる。
これで、よかったんだ。拒むことなんてできなかった。いつの間にか、自分の中にユリカへのと同じかそれ以上の愛情を感じた。
リョーコは少し身動ぎすると、目を覚ました。アキトが自分を眺めているのを見て、顔が凍りつく。
それを見て、アキトはリョーコの心中を察した。
「俺のこと、結構前から好きだったんだ?」
「そうだよ」
そんなふうに聞かれたら、リョーコは嘘をつけなかった。けれど、言ってしまった。
昨日の晩の行為は『言ってない』からこそ、できたものだった。言ってしまった今、ユリカを裏切ったような後ろめたさが体に広がる。
「テンカワ…ユリカとは…その、寝たことあるのか?」
知らなければならないこと。
「ないよ。ユリカは結婚するまで待とうってね」
余計に罪悪感が募る。まるで、アキトとユリカから何か、何か大切なものを奪ってしまったような。そんな罪悪感。
「『リョーコ』、もう戻れないんだ。リョーコのことは愛しているし、そうでなければ昨晩のようなことはしていない。ユリカのことは今でも愛している。ユリカが最初に俺の心に入った。それでも俺を受け入れてくれるなら…」
アキトの真剣さが伝わってくる。
「ああ、受け入れる。『アキト』、お前の全てをね」
リョーコは笑った。