小説

LONELINESS

第 32 話

翌朝、イネスが役割分担を説明しに来た。

アキトとリョーコの役割は、コロニーに残っている保存食を探し出してくることだった。イネスの説明では、食料が一番の問題だということだ。地下で使用できる紫外線灯と人口肥料水では、満足な量の食物が栽培できない。地表で栽培するのは、木星蜥蜴に見つかるので、もってのほか。水は集露装置があるので、問題はなかった。電力は限られた量が発生されていて、これも今のところ問題はなかった。

二人はイネスの説明が終わると、散策グループに参加して小さな光電力発生板をつんだ軽自動車でコロニーを散策し始めた。散策は時間に合わせないと、木星蜥蜴に発見される恐れがあった。バッタやジョロそのものは個人を襲うようにプログラムされていないので大丈夫だが、最近極冠エリアのネルガルの研究所を荒らしている木星蜥蜴の人に連絡がいってしまうかもしれない。

半壊した倉庫の中に見つけた、缶詰の食料を運び出すことになった。倉庫は全壊の危険性もあったが、時間と後で木星蜥蜴に発見されてしまう可能性のために、支柱などで支えることはできなかった。

アキトとリョーコは二人で協力してすばやく自分たちの軽自動車に限界まで缶詰を積み込んだ。時間までここを動くことはできないので、ただ車のそばで話をしていたら、こちらも積み込みを終わらせたらしい中年の女性が歩いてきた。

「あなたたち、結婚してどれくらいになるの?」

「結婚はしてません」

二人は女性の質問に、同時に、同じ言葉で答えた。

「それにしては、良いコンビネーションだったわね」

「俺はパイロットで、こいつは同僚。いつも一緒に飛んでるのさ」

リョーコが説明した。

「ああ、それでなの。ごめんなさいね、勘違いして。イネスさんが二人に一場所しか与えなかったから、てっきり」

「別に問題はないですよ」

アキトが言った。

「戦艦での狭い部屋には慣れてますから」

誰かが時間がきたことを告げ、女性は自分の車へと戻っていった。アキトとリョーコも車に乗り、全員シェルターへと車を走らせた。

女性のことを思い浮かべながら、リョーコは思った。

――悪くないな。ここにいる人たちは皆いい人みたいだし。ここでも、幸せになれるかもしれない。