小説
LONELINESS
第 31 話
イネスは二人に寝袋と毛布を二式与えると、シェルターの隅の開いている場所へ二人を案内した。
「毛布をカーテンみたいにしたら少しプライバシーができるけど、それが限界よ。ごめんなさいね。みんなもそうだから」
憮然とした表情のままの二人にイネスが謝る。
「さて、と。明日、役割分担などについて話すわ。ここに残るんでしょう?」
「どこに行けるって言うんですか?」
やはり憮然としたまま、アキトが言った。それにイネスはクスッと笑った。
「そうね、船で来たわけではないものね。じゃあ、おやすみなさい」
イネスが去った後、アキトは四枚ある毛布のうちの二枚をイネスが言ったように吊るし始めた。シェルターの中は案外、温度が少し暖かいぐらいに保たれていたので、寝るには毛布一枚で大丈夫みたいだ。
「終わったよ」
着替え終わったリョーコが背を向けている秋とに声をかけた。今度はリョーコが背を向き、アキトが着替え始めた。
「ゲキガンガーのトランクスはいてるんじゃないだろうな?」
背を向けたまま、リョーコがアキトをからかう。アキトは彼女のからかいを好意的に受け取った。イネスに話が通じなくて、落ち込んでいる様子はない。
着替え終わったアキトは、リョーコに合図すると寝袋にもぐりこんだ。イネスから割り当てられた場所は狭く、隣同士で寝るようになる。
「まだ落ち込むなよ」
リョーコがアキトに言う。気のせいか、目が少し潤んでいるようにも見えた。
「イネスの記憶がそう簡単によみがえるなんて、期待しちゃいけなかったんだ。以前ではお前とユリカとのジャンプと、あの木星蜥蜴のIFSハッキングがあってやっと蘇ったんだし」
「まだ諦めてないよ。ナデシコで一番と二番のパイロットなんだ、うまくいくさ」
リョーコはアキトが自分のパイロットとしての強さをほめているのだと受け取った。
二人は限られた空間でできるだけ体を離すと、眠りについた。
「おやすみ、リョーコちゃん」
「おやすみ、テンカワ」