小説
LONELINESS
第 21 話
アキトはエリナに会うために彼女の部屋へと赴いた。
「あら、テンカワ君。何の用?」
エリナは彼の突然の訪問に驚いた。近いうちに自分から会おうとしていた矢先だったからだ。
彼が火星から地球まで来れたのは、ボソンジャンプに違いない。彼は最初は渋るだろうけど、両親の死のことをちらつかせたら協力してくれるだろう。
部屋の入り口に立つアキトを中へ案内しながら、外見を観察する。まあまあ整った容姿をしている。なんでリョーコみたいな男女と一緒にいるのか理解できない。
アキトは自分をじっと見てるエリナに対して攻勢にでる。
「ウォンさん、ボソンジャンプという言葉はあなたに何の意味があります?」
エリナの目が鋭くなる。
「何を知っているの?」
「興味深いイアリングですね、それ」
エリナの耳元を目線で示す。そこには小さな透き通った青い結晶がついていた。
「これが何か知ってるの?」
エリナはまたしても驚く。
「両親がそれと似たような結晶をいくつか持ってました」
両親、という言葉におされ気味だったエリナが攻勢に出ようとする。
「あなたの両親、テンカワ博士夫妻。惜しい人たちを亡くしたものだわ」
少し甘めの声で言う。
アキトはその言葉に反応して、エリナの肩をつかみ乱暴に壁に押し付ける。
「…!!」
「殺人者たちと働くのはどんな気分なんだろうな、エリナ!どうせお前が前会長からの命令を伝えたんだろうよ!」
「知らない!本当に知らない!あの頃はまだネルガルで働いてなかったわ!」
恐怖か怯えか、それとも計算上のことなのか、エリナは声を押し殺しながら泣き始めてしまう。
それを見てアキトは少しばつが悪くなり、エリナを放す。
「すみません。けど、あなたはネルガルが両親を暗殺したことを知っていたはずですよ、エリナさん」
「……」
「実験のことを話してください」
エリナは背筋を伸ばし、アキトのほうへ向く。
「現在は小型チューリップを使っての、生体ボソンジャンプを対象にした実験をしているの。結果は全滅」
「俺は火星から地球まで、CCを使ってボソンジャンプしました」
「そう推測していたわ。で、協力してもらえるのかしら?」
「条件は二つ。一つ目は、リョーコが実験に立ち会えること。二つ目はいつか火星に再び行くことになったら、生存者の探索を行うこと」
「立会いの県は問題ないわ。火星に再び行くのには、結構な時間がかかる間も知れないけど」
「それでいい。乱暴して悪かった、エリナさん。ただ両親の死は、俺にはまだ痛むものなんだ」
そういってアキトは部屋を後にした。
残されたエリナは椅子に座りこむ。男に乱暴されて、少しでも心が弾んだことが許せなかった。少し座って普段の調子を取り戻した後、エリナはアカツキに連絡を入れた。
「やあ、エリナ君」
「テンカワ君の協力を得られたわ。私たちの推測どおり、ボソンジャンプをつかって地球に来たのよ。実験は明日からでも始められるわ」
「よくやった。じゃあ、明日ラボで会おう」