小説
LONELINESS
第 14 話
アキトは自分の部屋に戻った。長い一日だった。リョーコが早く訪れるようにと願っていた。話をしなければならない。
ドアがやさしくノックされた。サクラだった。
「テンカワさん、入ってもいい?」
答えを出す暇も与えずに、彼女は中に入ってきた。
「いいよ」
アキトは嘆息する。
「何かリョーコとの約束があるの?」
戯れのない目を向けてくる。
「リョーコちゃんとは……」
くそ、こんな事になるんだったらリョーコちゃんの嘘に乗っておけばよかった。
「なんか変だと思ったのよね~。アカツキさんが君を見つけてからあなた達二人で会ってないもの。けど、そしたら何でリョーコはテンカワさんを忍び込ませたの?あの後に喧嘩でもしたの?」
「そんなものかな……」
はっきりと言えず、自然に声が小さく、低くなる。
「ほら、元気出して!」
サクラが明るく言う。
「私とイツキと一緒にバーチャルルームでカラオケしようよ!」
サクラはアキトの腕をつかむと、扉のほうへ引きずりだす。
「ほら!」
「テンカワ、どこに行くつもりだ?」
ドアが開いた先には、リョーコがドアをノックしようとした腕を上げたまま立っていた。
「テンカワさんは私とイツキと一緒にバーチャルルームでカラオケしにいくの。リョーコも来る?」
縋る様にリョーコを見る。どうにかしてこの状態から助け出して、という思いをこめて。
「カラオケなんかに行くか!」
サクラはそれを聞いてアキトを引きずって部屋から出て行く。アキトが肩越しに後ろを振り返ってみると、そこには仁王立ちで此方を睨むリョーコがいた。
私の勝ち、リョーコの負け。そう思い、サクラはクスッと小さく笑う。
あの女狐が、俺のテンカワに手を出しやがって!リョーコは憤慨していた。
―――『俺』の?
いや、違う。『ユリカ』のテンカワ。そう心の中で繰り返し唱える。
まるでそうすることによって、それを信じ込もうとしているかのように。