小説
LONELINESS
第 13 話
サクラとカザマはアキトを見つけると、アキトのほうによってきた。
「テンカワさん、すごいですね!皆シュミレーターでテンカワさんがアカツキさんに圧勝したって噂してますよ!」
サクラは興奮を隠せない様子で詰め寄ってきた。
「ごめんなさい、テンカワさんとリョーコさんのことをアカツキさんに報告したこと。けど、旨くいってよかったわ、友達になれるといいわね」
カザマは対照的に静かに手をアキトに差し出した。
「エステ隊へようこそ、テンカワさん」
アキトはその手をとり握手したが、前に出会ったときのことを思い出して顔が赤くなったのを見て、カザマは面白いと思ってしまった。
サクラはアキトをリョーコから離しながらエステの格納庫への道を下っていった。カザマはその後ろに付いて行ったが、リョーコはしばらくぼうっとそこに立ちすくんでいた。
「リョーコとは何時からの知り合いなの?」
サクラがアキトに聞く。
「どこで戦闘技術を習ったの?二人そろってパイロットなんてロマンチックなんでしょうね」
ちょっと困っていても女の子には逆らえないアキト。助けを求めてリョーコのほうを振り返って見えたのは、怒りがありありと窺える顔だった。そしてその顔はぐんぐん近づいてくるのだ。
ちっ、アキトの馬鹿は何でこんなにもてるんだよ!リョーコはほかの三人には聞こえないように小さな声で神を呪っていた。
「サクラ、カザマ、よく聞け!エステ隊が四人に増えたんだ、二派に分かれてのフォーメーションの訓練をするぞ。サクラとカザマ、俺とテンカワでいく。分かったな!」
「了解しました」
サクラはアキトの腕を開放し、わざとらしい敬礼をする。
「ちゃんと分かってますって、隊長」
最後に目をぱちんとウィンクさせる。
「アホな事やってないで早くエステに乗れ!後五分で行くぞ!」
アキトはサクラの尋問から開放されて、安堵の溜め息を漏らした。リョーコに向かって軽く頭を下げて、自分のエステへ向かった。
それを見て、リョーコは少し頬を緩ませる。アキトのせいじゃない。この艦のクルーの年齢と性別がバランスされていないせいだ。若い女性が比較的に多いのに、ほとんどの男性は中年かそれ以上だ。ただ、若い男性が少ないから、サクラはアキトに興味を持つんだ。
パトロールは無事に終わった。
アキトは再びリョーコと一緒に宇宙に出れて嬉しかった。ほかの子たちもいいパイロットみたいだった。カザマは特にプロフェッショナルっぽくて真面目だった。サクラは少し他人を卑下するようだが、アキトのことでリョーコをあれ以上からからかわないセンスは持っていた。
ヒカルとイズミだったら、こんなところでからかうのをやめはしないだろう。