小説

LONELINESS

第 1 話

アキトのピンクのエステバリスはスバル隊長の赤い機体のそばを飛んでいた。

マキ・イズミとアマノ・ヒカルの青と黄色の機体がそれに続いていた。イズミのコミュニケからテンカワとスバルにプライバシーを与えるのがどうのこうのと洩れてくる。

「黙れ、マキ!」

リョーコの叫び声が響く。

エステ隊は木星蜥蜴の巡洋艦を迎撃しに出たところだった。ナデシコは今巡洋艦を相手に戦いをできる状態ではなかった。

「あのやろう、まだ無人兵器を出してこない……。いやな予感がする」

リョーコがつぶやく。

「敵艦の相転移エンジンの反応が急上昇してるわ!あの艦も相転移砲を持ってるわ、早くそこから退きなさい!」

いきなり現れたウィンドウに映ったイネスが切羽詰った表情で報告してくる。

逃げる場所はなかった。相転移砲の攻撃範囲は広い。ナデシコ自体は敵艦の射程外にいるので危険はなかったが、エステバリス隊には絶望しかなかった。

アキトは今、あの時の火星での激しい怒りと混乱を感じていた。エステの腕でリョーコの機体の肩を掴む。CC無しでできるのか?何でイズミさんとヒカルちゃんはフォーメーションを外れたんだ、しかもあんなにも!

アキトの身体が不思議な青白い光に包まれるにつれて、二機のエステバリスの周りにジャンプフィールドが生成されていく。時が遅くなり、遡り、そしてまた進む。相転移砲で造られたゆがんだ空間が焦点から、まるで拷問のシャボン玉のように膨らんでいった。

ヒカルちゃん、イズミさん!アキトの生成するジャンプフィールドがアキトの助けようとしている友を求めて広がり、曲がり、延びる。広がってくる相転移砲の絶望がジャンプフィールドに接触する。ジャンプフィールドの中は無事のようだった。今のところは、空間を引き裂く相転移砲から守られていた。

しかし、それも長くは続かず、小さな瞬きとともにその小さな空間が弾ける。その場所に残された空間は真空の中に放られた風船のように爆発し、残った二機のエステバリスを安全圏へ放り出す。